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暮らしの中の法律問題~弁護士櫻井和子のコラム

 弁護士の櫻井和子が、法律問題や社会問題の気になる事例の中から、皆様のお役に立ちそうなものを取り上げ、コラムとして、所感を述べております。
ご興味に合わせて、お暇なときに、一読いただけると幸いに存じます。

新着情報

令和3年5月18日
 「交通事故 示談交渉の豆知識」

交通事故 示談交渉の豆知識
(令和3年5月18日)

~交通事故 示談交渉の豆知識~

■後遺障害について
 交通事故に遭い、お怪我をされた方は、治癒を目指して治療しますが、残念ながら、完全に治癒しないというケースもあります。
治療を続けても症状の改善が望めない状態になることを「症状固定」といい、その時点で後遺障害が残った場合には、後遺障害の等級の認定を受けることになります。
後遺障害の等級は、相手方の保険会社を通じて、あるいは、被害者側からの請求により、損害保険料率算出機構という組織の調査を経て認定されます。後遺障害の等級は、重い方から1級から14級まで定められています。損害保険料率算出機構の等級認定に不服がある場合には、異議申し立てをすることもできます。
後遺症が残ってしまった場合には、事故前と同じ様には働くことができず、長期に亘って収入が減ってしまうことがあり、これを後遺障害による逸失利益といいます。また、後遺障害が残ることにより精神的苦痛を受けますので、後遺障害慰謝料を求めていくことになります。示談交渉の中で、後遺症の有無やその等級は、金額を大きく左右する重要な要素になります。

■弁護士に相談するタイミング
 交通事故に遭われた後、弁護士に相談するタイミングは様々です。
怪我の治療を終えて、本格的な示談交渉が始まってから相談に来られる方もいらっしゃいますし、事故後すぐに相談に来られる方もいらっしゃいます。
交通事故では、治療を一通り終えて、症状が固定するまで金額を確定することはできませんが、怪我のため、休業を余儀なくされたり、高額の治療費の負担の問題など、事故後早い段階から、保険会社との話し合いが必要となる場面がありますので、お早目に弁護士にご相談ください。

民法(債権法)改正(2020年4月施行)のポイント
(令和3年4月20日)

~成年年齢の引き下げ~
 民法の改正により、令和4年(西暦2022年)4月1日から、成年年齢が18歳に引き下げられます。
平成14年(西暦2002年)4月2日生まれから平成16年(西暦2004年)4月1日生まれの方は、2022年4月1日の時点で一斉に成年になるということになります。
 成年になるとは、父母の親権に服さなくなるという意味と、一人で有効な契約を締結することができるという意味があります。
親権とは、子の利益のために子を監護、教育し、住む場所を決めたり、財産の管理を行うことを言いますが、令和4年4月1日からは、満18歳になった時点で、親権が及ばなくなります。

 また、未成年の間は、契約などの法律行為をするには、親の同意が必要で、親の同意なく契約を結んだ場合には、取り消すことができますが、成年年齢が18歳に引き下げられると、18歳や19歳でも、取消権を行使できなくなります(ただし、令和4年4月1日より前に、18歳や19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は、令和4年4月1日以降も、取り消すことが可能です)。
18歳や19歳というと、高校生あるいは高校を卒業したばかりの年齢であり、社会経験の乏しい若者が、悪質な業者の被害に遭うことが心配されています。
成年年齢が引き下げられるということは、18歳から満20歳までの若者の責任が増すということになります。
大人の立場からすると、早いうちから、子が自分で適切に判断できる力を養えるよう手助けしていく必要があると感じています。

 なお、成年年齢の引き下げと関連して質問されることが多い問題として、養育費の終期の問題がありますが、成年年齢の引き下げは、養育費の終期と必ずしも連動するものではないと考えられています。なぜなら、養育費は、子が「未成熟」であって経済的に自立しておらず、しかも、一般的、社会的にみて子が経済的に自立しないことが許容されている場合に支払われるものであり、未成年と未成熟は一致した概念ではないと考えられているからです。

養育費、婚姻費用の標準算定方式・算定表の改定
(令和2年1月8日)

 現在、家庭裁判所では、養育費・婚姻費用算定の参考資料として、東京と大阪の家庭裁判所の裁判官の共同研究の結果作成された「標準的な養育費・婚姻費用の額を簡易迅速に算定するための標準算定方式・算定表」が広く使われていますが、2019年12月23日、「令和元年度版」が公表されました。

 3年前に日本弁護士連合会が新算定表を提言したことは、当コラムでも取り上げましたが、今回の「令和元年度版」は、現在使われている標準算定方式・算定表の考え方を踏襲した上で、算定の基礎となる統計資料を更新して、現在の社会実態を反映して作成されました。これにより、ほぼ全てのケースで養育費・婚姻費用の目安が増額されています。
また、養育費の終期として、既に「成年」に達する日までなどと定められた合意は、成人年齢が引き下げられても、基本的に20歳と解するのが相当であるとされました。改正民法の施行後も、未成熟子を脱する時期は、個別のケースごとに判断されますが、未成熟子を脱するのはこれまで通り20歳となる時点とされ、その時点が養育費の支払の終期と判断されるとの基本的な考え方が示されました。

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養育費・婚姻費用の新算定方式・新算定表について
(平成29年2月24日)

 養育費・婚姻費用の新算定方式・新算定表が発表されました。

 これまでも、簡易算定表を目安に養育費が決定されてきましたが、その金額は、子どの生活にかかる費用の分担として、十分ではないとの批判がありました。
厚生労働省の調査によると、母子世帯の平成22年の平均年間収入(平均世帯人員3.42人)は291万円、父子世帯の平成22年の平均年間収入(平均世帯人員3.77人)は455万円というデータがあり(厚生労働省 平成23年度全国母子世帯等調査結果報告)、この結果からも、母子世帯の厳しい経済状態がよく分かります。

 離婚相談の際、「お金のことで子供に苦労を掛けるのではないか」、「十分な教育を受けさせてやれなくなるのではないか」と不安に感じている方が多くいらっしゃいます。今回、算定方式が見直されたことで、子どもが成長していく過程で必要となる費用を、両親が適正に分担していくことの一助となることが期待されます。例えば、父親の年収500万円、母親の年収250万円で、母親が子2人(6歳、2歳)を養育しているケースを見てみます。
従来の算定表では、二人分の養育費の額は4万円~6万円でした。新算定表では10万円となります。

 もちろん、算定表はあくまで目安ですので、養育費を支払う側、支払ってもらう側、子どもの生活実態や事情を考慮して、個別に修正すべき場合もありますが、話し合う際の指標となりますので、今後、養育費に関する調停・審判事件にも影響が大きいものと思われます。